絵で答える算数

ひたすら計算問題を解く、すぐに答えが出る問題の徹底反復学習法は「考えない子ども」を育てます。
計算問題を反復して解くことで、計算スピードは向上します。しかし、脳は使わない回路を次第に削り取ってしまうため、思考を使わなければ「考える回路」が奪われてしまいます。4年生になり急に算数ができなくなったと感じる親御さんが多いようですが、これは突然できなくなったわけではありません。計算問題ばかりを解いてきた結果、文章題に対する苦手意識が生まれたからです。低学年のうちに大量の計算問題を解く学習法は、後々問題を引き起こすリスクのある学習法です。
そして、その先には「指示を受けないと動けない大人」になってしまう恐れがあります。お子さんには将来、どんな大人になってほしいですか?命令される生活ではなく、自分で考えて人生を楽しんでほしいですよね。
良質な文章題は短い物語で構成されており、算数だけでなく読解力も養うことができます。また、絵に描き下ろす(イメージの再現)作業は、他者と全く同じ絵になることはなく、オリジナルの考えを工夫する時間となります。この瞬間、思考回路が多く作られるのです。
ただし、文章題の使い方を誤ると、これもまた危険な学習法となります。文章題も一つの手段に過ぎません。「これをやれば大丈夫」といった考え方ではうまくいきません。問題には解き方が決まっており、その一つに「楽しんで解く」ことがあります。楽しんでいなくても思考回路は形成されますが、それでは感情が育ちません。感情が育たなければ、正しい判断もできません。最近のニュースでは、学歴のある子どもや大人が犯した事件をよく目にします。正しい判断ができなかったのは、感情が育たなかったからではないでしょうか。楽しんで解くことは、絶対に必要なルールなのです。
また、教室で楽しんで帰れたとしても、答えにたどり着かなかったときに親御さんから「今日はできた?」と聞かれると、「正解すること」が最優先になり、子どもは楽しめなくなります。ちょっとした声掛けがプレッシャーに変わることを忘れてはいけません。