教えない指導
BISAの授業では算数文章問題を解くことがメインのカリキュラムですが、正解した時には3年生までは私が計算式を書いて、見ておくようにと伝えます。解答にたどり着かない時は、その問題をわからなかった問題用のノートに貼り付けて半年後、それ以降にもう一度解きます。解説や解法の指導はしません。教えない指導です。
その時に解けなく、全く教えてもらわなくても必ず解ける時がやってきます。教えることでその問題を解けるようになりますが、子供たちの考える力を得られない相当のリスクがあります。
管理職の方や大学の教授と話す機会があると最近の若者のことを尋ねると、考えることが苦手な若者、研究ができない大学院生が増えている現状があるようです。最近では国立大学に通うお子さんの不祥事もありました。記憶の学力があれば良い大学へ進学、一流企業に就職ができる可能性は高くなるかもしれません。しかし考える力が育っていなければ幸せな人生を送ることは難しくなると考えます。
教えない指導は直ぐに学力を向上させないように思えるようですが、見えない学力は確実に育っています。子供たちには、答えが出た時に頭がよくなるのではなく、わからない問題があった時がチャンスなんだよ。わからない時に色々と考えている時が頭が良くなるんだよと話しています。
また以前わからない問題を再トライしてできるようになった時に子供たちは「こんな問題ができなかったんだ」なんて話すこともあります。私は「教えてもらわなくてもできるようになるでしょ。だから教えてもらわない方がいいんだよ。」とも話します。そう関わっていくことで、自然と教わることを拒む、考えることが楽しくなる子に育っていきます。
では私は何をしているのか。先ずその日の勉強意欲を見たり、最近のながれからその時に適した問題を用意します。そして常に答えを重視しないように管理し、わからない問題に直面した時には不快な気持ちにならないように声掛けしています。学習意欲を高めるのが私の役割です。
皆さんに気にかけてほしいことは、勉強に限らず教えるという行為はいらないがことが多く、習い事を選ぶときには教える指導者を選ばないことです。
放っておくわけではなく、見守る子育てにこだわって欲しいと願います。
2024年05月05日 20:01